他の人たちがお題に合う人を探すのに手間取っていたおかげで、私たちは一番でゴールした。
トラックの内側に入ってから、はっと気づいた先輩がつないでいた手をパッと離した。
さっきまで恥ずかしかったのに、もうちょっとつないでいたかったな、なんて思ってしまう。
「すまない、つい手をつかんだまま走ってしまった。あと、突然連れ出したのに来てくれてありがとう」
「いえいえ! 借り人競走って、そういうものですし!」
実は期待してました! なんて大胆なことは言えない。
でも、一つだけ。
「あの、先輩! お題って、何だったんですか?」
私が尋ねると、先輩は歩いていた足をピタッと止めた。
ちょっと顔を背けてるけど、その耳が心なしか、赤いような……?
「……俺が引いた、お題は――」
トラックの内側に入ってから、はっと気づいた先輩がつないでいた手をパッと離した。
さっきまで恥ずかしかったのに、もうちょっとつないでいたかったな、なんて思ってしまう。
「すまない、つい手をつかんだまま走ってしまった。あと、突然連れ出したのに来てくれてありがとう」
「いえいえ! 借り人競走って、そういうものですし!」
実は期待してました! なんて大胆なことは言えない。
でも、一つだけ。
「あの、先輩! お題って、何だったんですか?」
私が尋ねると、先輩は歩いていた足をピタッと止めた。
ちょっと顔を背けてるけど、その耳が心なしか、赤いような……?
「……俺が引いた、お題は――」



