「麻里、帰ろっ」
放課後になり、帰り支度を終えた私は麻里の席へ向かう。
「あっ、陽菜ごめーん。日直だったこと忘れててさ、日誌全然書いてなかったの。時間掛かるから斗真と先に帰ってて」
麻里に守谷くんへの返事について話したかったのに。
それに斗真と2人で帰るなんて、無理だよ。
「ええーっ。帰りに話したいことがあったんだけど。日誌終わるまで待ってるよ」
日誌なんて10分もかからず書けると思うんだけどな。
すると麻里が斗真を呼んで、私が一言も言っていないことを斗真に言った。
「斗真、陽菜がね斗真に相談があるんだって。だから帰りながら陽菜の話を聞いてあげてよ」
麻里の言葉にびっくりした私は両手を顔の前でブンブン振って麻里と斗真に否定のポーズをしながら
「なっ何言ってんの麻里。私、斗真に相談なんて・・・」
斗真に相談なんてないよって言いたかったのに、斗真が
「帰るぞ、陽菜。早くカバン持ってこいよ。ってことで麻里は日誌頑張って書けよな。じゃ!」
斗真と麻里は顔を見合わせて笑っている。
しかも麻里が斗真にサムズアップしてるし。
「ちょっ、麻里! グッドってなによ。斗真も斗真だよ、麻里が日誌書き終わるの待っててあげればいいじゃないの」
「はぁ? なんで俺が麻里のこと待ってなきゃならないんだよ。 いいから帰るぞ、陽菜」
本当にこの2人の関係が分からないよ。
まあ、私が斗真と2人で帰ったとしても麻里と斗真の仲を壊すなんてことは無いって信頼してくれているから麻里は平気なんだろうけど。
それにしたってさ、斗真と2人で帰るなんて初めてだから要らない緊張しちゃうよ。
「日誌書くのに邪魔だから早く帰った、帰った」
麻里は私と斗真の背中を押して私たちを教室から廊下に追い出すと教室のドアを閉めてしまった。