待ち合わせの10時半に遊園地の入門ゲートへ行くと麻里と斗真はもう来ていて、私と守谷くんを見つけた麻里が手を振ってくれた。

「守谷くん、麻里と斗真がもう来てるよ。早く行こう」

守谷くんに早く行こうと催促をしたんだけど、守谷くんはゆっくり歩くから私だけが麻里と斗真の元へ走って向かった。

「麻里、斗真、おっはよー」

私は元気よく2人に挨拶をしたんだけど、なんだか斗真の顔が怖い。

「陽菜、おはよ。守谷と一緒に来たの? あなたたち駅じゃない方から一緒に歩いて来てたけど」

麻里からの鋭い突っ込みになんて返事していいのか迷った。

バイクに乗せてもらってここまで来たなんて、言えないよ。

「まあ、一緒って言うか、ね。そう、あっちのトイレに行ってたから。麻里は斗真と一緒に来たんでしょ?」

「そりゃね、同じ駅だから」

麻里と斗真の遊園地デートは駅から始まっているんだね。

自分で聞いた質問なのに、少し淋しい気持ちになってしまった。

「俺たちだって一緒だっただろ」

私の背後から守谷くんの声。

守谷くんのその一言に私より早く反応したのは斗真で。

「陽菜、守谷と一緒に来たのか?」

斗真に嘘は付きたくないけど、一緒に来たことも言いたくない。

「うっ、う・・・ん」

斗真の目を見れず、下を向いたまま斗真に返事する。

「えっ、そうなんだ。守谷と一緒に来たんだね」

麻里も驚いた様子だったけど、普通に返してくれたから良かった。

「なんでだよ」

納得していないのは斗真だけ。

「俺が誘ったんだから羽瀬さんの家に迎えに行くの当然だろ」

はい? 守谷くんは何を言っているの。

いつ家まで迎えに来てくれた?

「えっ、守谷くんそれ違う」

守谷くんの言ったことを否定したんだけど、そんな私の否定なんて斗真の耳に入ってなくて。

「はぁ? 陽菜の家まで行ったって。マジかよ」

「鈴鹿に断らなきゃダメだったか?」

怒り気味の斗真に対して、冷静にそして少し挑発したように守谷くんが返事するから、なんか空気が重くなった。

「斗真と守谷って知り合いだった?」

麻里が斗真と守谷くんのやり取りを聞いて、そんな疑問を口にした。

「「知らねーよ、こんなやつ」」

斗真と守谷くんの声が揃った。

「へぇ、知り合いだったんだ」

麻里が悟ったように答えてくれた。

麻里も私と同じことを感じたんだね。

何の接点もなさそうなこの2人がどんな知り合いなのか気になるけど。

これ以上この話題を続けていると雰囲気が悪くなりそうだから話題を変えなくちゃ。

「ね、みんな。もう遊園地入ろうよ。何から乗るか決めてるの?」

「そうだな、行こう羽瀬さん」

守谷くんが先に歩き出したから後ろから3人でついて行くような形で遊園地に入った。