日曜日。 快晴。 デート日和。
ううっ、三拍子揃ってしまった。
昨日はずっと着て行く服を考えて、結局誰に可愛いと思ってもらいたいのか分からなくなってパンツスタイルを選んだ。
本当はワンピースとかチュニックを着たかったんだけどね。
玄関にある全身鏡の前で360度回転し、服装と髪型をチェックしてから、少し足取り重く守谷くんと待ち合わせしている駅まで歩いた。
10分前に駅に到着したけど、守谷くんはまだ来ていないよね。
学校への登校時間も遅かったし、遅れてくるのを覚悟しとこ。
勝手に遅刻だろうと思い込んでいたから駅の外にあるベンチに座ってスマホを見て守谷くんを待つことにした。
でもスマホの画面を見ていても、今日これからのことを考えるとスマホからの情報が全然頭に入って来ない。
仕方なくスマホを見るのをやめて行きかう人をボーっと眺めていると、守谷くんらしき人が前から歩いてくる。
スマホでもう一度時間を確認するとまだ約束の8分前で。
えっ? 守谷くんって早く来るんだ。
予想外のことだったから驚いてしまってベンチから立てずにいた。
「羽瀬さん、おはよう。 どうした? なんかボーっとしてるけど」
「あっ、えっ。守谷くん、おはよう。遅刻すると思ってた守谷くんが早く来たからびっくりした」
「なんか失礼だな、羽瀬さん。俺ってどんなイメージ持たれてんだよ。ははっ」
私の悪態もサラっと受け流し、屈託なく笑う守谷くんから目が離せない。
「じゃ、行くか。ちょっとついてきて」
そう言うと守谷くんは駅を背にして歩き出した。
「改札そっちじゃないよ、守谷くん」
守谷くんはきっとこの駅に初めて来たから改札の場所が分からないのかと思って咄嗟に守谷くんの服の裾を引っ張って歩くのを止めた。
「ん? 俺そこまでバカじゃないけど。つーか、服。引っ張るな」
「ご、ごめん」
謝りながら守谷くんの服から手を離した。
「無意識にそういうことすんの、やめて。俺、無意識にされるの慣れてねーんだわ。俺の周りって計算して行動してるヤツらばっかだからさ」
それって、私が何も考えてない計算のできないお馬鹿ってこと?
「だって、計算しながら行動できないよ」
「そうだな。羽瀬さんはそのままでいいよ。俺から見たら記念物だしな」
ちょいちょい守谷くんが私をディスってくるの、なに。