翌朝、私は少し早い時間に登校して昇降口で守谷くんを待った。
私はいつも遅刻ギリギリに登校しているから誰がどの時間に登校しているのか知れて何故かワクワクしていたの。
程なくして登校してきたのは麻里。
「麻里、おはよう!」
私が下駄箱の陰から顔を出し麻里に挨拶をすると麻里はびっくりした様子で私を見ている。
「あれ? 陽菜にしては早くない? どうし・・・ああ、そっか。もしかして守谷待ち?」
麻里は鋭いな。
「うん、やっぱりラインするのは気が引けちゃって。直接話す方が気が楽なんだよね」
「そうだと思った。で、まだ守谷は来てないんだ。私も一緒に待とうか?」
麻里とそんな会話をしている所に斗真が登校してきた。
「斗真、おはよー」
先に挨拶をしたのは麻里。
私も少し遅れて斗真に挨拶をする。
「おはよ、斗真」
「おはよう」
斗真は何故か私の方を見て挨拶を返してくれた。
「私の方も見て挨拶しろや! 斗真」
麻里が冗談でキレているのが分かる。
「ああ、麻里いたんだ。おはよ」
麻里に対してなんて素っ気なく返事をするんだろう。
でもそんな関係が私には羨ましい。
「陽菜めずらしく早いな。どした?」
斗真は麻里のことはスルーして私に話し掛けてきた。
「う、うん。ちょっと用があって。斗真と麻里は先に教室へ行ってて。私も用事が済んだらすぐ行くし」
「まさか、守谷のこと待ってんじゃないよな、陽菜」
また斗真の声が低くなった。
守谷くんのことになると斗真が不機嫌になるの、なに?
斗真に対して返事に困っていると麻里が助けてくれた。
「斗真、察しなさいよ。私たちは先に教室行ってるから、陽菜頑張るんだよ。さ、斗真行くよ」
麻里は斗真を教室に連れて行こうとして斗真の背負っているカバンを掴んで引っ張った。
「分かったから離せよ、麻里。じゃ、先に教室行ってるぞ、陽菜」
「うん」
私は麻里と斗真が見えなくなるまで2人に手を振って見送った。