ダブルデートをしようと斗真に提案した日の夜、私は麻里に斗真との会話をラインで報告したんだけど、麻里はすでに斗真から連絡が入っていたみたいで、状況は分かってくれていた。
≪斗真から聞いたよ。どうしても陽菜たちと遊園地に行きたいから私に来いって。断る暇がなかった。ほぼ命令だったわ笑≫
私よりも先に斗真から麻里へ連絡が入ったんだな、って思うと胸が痛い。
今度の遊園地ダブルデートで麻里と斗真がお付き合いできるようになって欲しいと思うけど、本当は苦しいよ。
私の中から早く斗真を消さないといけないのに。
≪それで麻里は一緒に行ってくれる?≫
≪うん、いいよ。でもさ私と斗真も一緒に行くことを守谷に頼まなきゃならないんでしょ。それは陽菜が頑張るんだよ≫
良かった。 麻里に断られてしまったらどうしようかと不安だったの。
麻里が行かないなら斗真だって当然来てくれないだろうし。
本当は守谷くんと2人だけで遊園地に行くのが怖かったんだ。
≪麻里、ありがとう。助かる。遊園地で麻里は斗真と仲良くね! 私も守谷くんと頑張ってお話しするね≫
私が麻里に返信すると麻里から速攻で返事が返ってきた。
≪別に私は斗真と仲良くしたくて行く訳じゃないよ。守谷が陽菜に変なことしないように監視しに行くの。あ、斗真も厳しく監視するらしいから≫
監視って・・・。
麻里も斗真も私のことなんて構わなくていいのに。
せっかくの遊園地なんだから2人で楽しんだらいい。
≪ダブルデートって言っても遊園地では別々に行動で大丈夫だからね。私、守谷くんと仲良くするし≫
こうでもしないとあの2人はお付き合いを始めない。
高校に入学してから私は麻里と斗真に本当にたくさん助けてもらったの。
それなのに2人になにも返せていないんだもん。
私の気持ちは封印して、想い合っている麻里と斗真の付き合うきっかけを作ってあげるんだ。
≪あのね陽菜、もうずっと言ってるけど私と斗真はそんな関係じゃないの。ほんとそれだけは間違えないでね≫
いつもこうやって麻里は斗真のことを否定するの。
いつか麻里に本当の気持ちを聞き出そう。
はっきりと本人の口から聞いて間接的に斗真から振られないと、きっと私の斗真への気持ちは完全に消すことができない。
2年間誰にも言えず想い続けた気持ちがそろそろ限界になっていた。
麻里とのラインを終えて、私は頬を両手でパンパンと叩き気合を入れた。
まずは守谷くんに連絡をしなければならないけど、ラインは送りたくないな。
まだ守谷くんのこと全然知らないし、あのルーズリーフの事を塩野さんや他の人にも話していたのが気になっていて、ラインのようなみんなに見せられるものは送りたくなかった。
塩野さんが言っていた 『隼人たちが私からの返事を待っている』 という言葉がずっと気になってる。
『隼人たち・・・』
明日、学校で直接守谷くんに話そう。
その時にどうして私を遊園地に誘ったのか聞いてみよう。