なんだこいつ!

ちっせぇし、あうあう言ってるだけだけど可愛い!めちゃくちゃ可愛いじゃねぇか!

こうしてこの日。

俺はこの赤ん坊・咲良に心奪われた。


「むかーし、むかしあるところにー」

まだ寝返りも出来ず
いっつも仰向けでいるこいつに
絵本を読み聞かせてやったり…

「いないいないばぁー」
「きゃはははっ…っ」

ろくな娯楽のないこいつに
いないいないばぁ、をしてやったり…

「いっぱい飲んで大きくなれよー」
「げぷっ。」

歯すら生えてないこいつに
ミルクを飲ませてゲップさせてやったり…

と、色々してきた。

俺に妹はいなかったが、
いつしかこいつが
妹のような存在になっていた。

そしたらある日……

「あぅ…!っ、!あ!ぅー…ぅー、うーと…。うーと。」

「あ!今こいつ‪”‬うーと‪”‬、って言った!俺のことか!?」

初めて喋った言葉はままでもぱぱでもなく、
‪”‬うーと‪”‬だった。

「琉斗くんいつも咲良と遊んでくれてるからねぇ。咲良も喜んでるのよ〜」

「うーと。うーと」

なんだこいつ!くっそ可愛いいい!!!!

俺に懐くとか、やるじゃねぇか!