「もっかい俺を好きにならない?」
心を見透かすように、言われたセリフ。
二度とゴメンだ、って思うのに、簡単に心が揺れそうになる。
だって…。
酷いことをされたって、一番に好きだった人だから。
「なら、ない…」
「あは。そうだよねー」
全然惜しくなさそう。
またからかわれた…って、絶望。
少しは、あたしのこと意識してくれたかな。
かすみくんの気を…ひけたかな。
「じゃあさ、ゲームしよう、杏ちゃん」
「……ゲーム?」
「そ。俺は杏ちゃんを惚れさせたら勝ち。杏ちゃんは俺に惚れたら負け」
「…それ、あたしが勝つ方法ないじゃん」
つまり、かすみくんが勝つか、あたしが負けるかの勝負ってことでしょ。
そんなのゲームでもなんでもない、一方的ないじめだよ。
「いーじゃん、やろうよ」
「……やんないし」
「つまんねーの」
つまんなくていいよ。
もう、かすみくんに振り回されたくない。



