放課後。
先生に髪色を怒られて、生徒指導室からの帰り道。



家じゃなくて、保健室に直行。
ダークブラウンだし。地毛って言えば済む話なのに、あんなに怒らなくてもいいじゃん。






「お、天使さんだ」




…出たな、新たな刺客。



保健室のドアの前。
立ちはだかる男子生徒に、あたしは睨みをきかせた。



あたしがこうなった元凶。
あたしの性格を歪めた大元。




…笹良霞(ササラ カスミ)。



あたしと同じクラスのチャラ男。
それはもう、意味がわからないくらい遊び人。




毎日違う女の子と一緒にいるし、たまにふしだらな行為のために保健室を借りようとする外道。




あたしはこいつのことが、好きで嫌い。





「……舐めてる?」


「やだなぁ、人間のこと舐めないよ。汗でしょっぱそう」


「そういうことじゃ……あー、もう」




話すだけ無駄。
もういいや、邪魔だからどいてそこ。