それから毎日、どうしたらもう一度俺の方を向いてくれるか考えた。
悪魔と言われたその日から俺はもっと悪魔を目指した。
…もっと泣いてよ、俺のために。
「…また来たの? かすみくん」
みんなにニコニコふるまう”小悪魔”なキミが、俺の前でだけ見せる無表情。
呆れを通り越して、言うこともないような顔。
…たまんない、って思った。
「…はぁ。保健室はそういうことをする場じゃ…」
俺の隣で腕を絡めている女子生徒に目をやったあと、大きくため息。
いつからだろう。
杏の傷ついた顔を見るのが、好きだった。
「分かったらさっさと帰って」
分かんない。
なんにもわかんないよ。
だって杏ちゃん、泣きそうじゃん。
その原因は、俺?
それだけ教えて。
”杏”
”かすみ”
と呼び合っていたころには戻れない。
それなら、もっと遠い所へ。