城に連れて帰った奴隷は、嫌な匂いがした。父たちが連れて帰った奴隷も同様だったようで、外の水場は裸にされた奴隷たちであふれかえっていた。
 使用人らの騒ぐ声がする。

「なに、この奴隷、体じゅうが湿疹だらけだわ」
「こっちの奴隷は、足が腐ってるじゃないの」

 着飾っていた奴隷らは、外側だけ取り繕われて、ろくろく世話をされていなかったようだ。

「また、王妃に王子に王女の機嫌が悪くなっちまうよ、どうしたもんだか」
「汚い肌はペンキでも縫ってごまかすかい?」
「足はそのまんまでいいわ、どうせ、またもがれるんだからさあ」
「ちがいねえや。王子たちに飼われたら、あっという間に手足がなくなっちまうもんな」

 使用人はまた一つ洗い仕事が増えるのを面倒がるだろう。私は私の奴隷には、自分のバスルームを使わせることにした。いやだけど、臭いままよりはましだ。
 メイドのハンナに手伝わせる。
 誰もが私の世話を嫌がるが、同い年のハンナだけは、どこでも使い物にならないらしく、私のメイドとして居残っている。
 ハンナは私が入るものだと思ったのか、湯を沸かしていた。冷たい水のままで十分だったのに、仕方なくお湯を使わせることになった。
 奴隷はひどく気持ちよさそうに湯に漬かった。