次の日。俺は病院の中を歩いていた。昨日、俺は医者から外に出てはいけないが病院内は歩いてもいいという許可が出たので、自販機のジュースを買おうと病室を出たのだった。
(ああ……今日もいい天気だな~)
俺は、自販機でジュースを買うと近くのベンチに座った。
(なんかいいな……この感じ……)
そして、ゆっくりと空を見上げるのだった。草木はそよそよと風に揺られ、鳥も気持ちよさそうに空を飛びながら鳴いていた。(ああ……こんな日がずっと続けばいいのにな……)
俺はそう心の中で思った。そしてジュースを飲もうとした時、
「お~い!彷徨!!」
そんな声が聞こえたので振り返るとそこには友達の電郎の姿があった。
「あ、電郎じゃん!」
すると彼は笑顔でこっちに近づいてきた。
「よ~元気?昨日倒れたって聞いたから心配したぜ?」
「うん、もう大丈夫だよ……」
「となりすわっていいか?」
「ああ、いいよ。」
そして電郎は俺の隣に座った。俺は、ジュースの蓋を開けると一口飲んだ。
「なあ、お前ってさ~なんか病気持ってたっけ?」
「え?ああ……ちょっとね……」
俺は適当にごまかした。
(ライソゾーム病なんて言ったら心配かけるからな……)
「てか、今日学校いかなくていいの?平日だけど…」
俺は、ふと疑問に思ったことを電郎に聞いた。
「ああ……今日は彷徨の為にさぼってきた。(笑)」
「あ~なるほど………」
俺は苦笑いした。
(まあ、こいつらしいな……)
「まぁサボったのは俺だけじゃないけどな。」
「え、だれかおるん?(笑)」
「ああ、お前の片思い中の中本もだぞ。」
すると俺は、飲んでいたジュースを吹き出してしまった。
「うわ!!きたな!!!」
「ゲホッ、ゲホッ……」そして、俺はむせながら電郎に尋ねた。
「中本さん!?なんで!?」
「いや、なんかお前の事が心配だから、学校を休むって。(笑)」
「そっ……そうなんだ……」
(中本さん……俺の為にわざわざ学校に行かないでいてくれたのか……)
「お、中本!!!こっちこっち!!!」
電郎は足音に気づき、手を振って中本さんを呼んだ。
「あ、電ちゃん!!」
すると彼女は手を振り返した。そして俺たちの方へ近づいてきた。
(ああ……やっぱり可愛いな~)
俺は彼女を見てそう思った。彼女の髪は黒髪で肩ぐらいの長さだった。目は大きく二重まぶたで鼻筋も通っていて、唇は綺麗なピンク色をしていた。背は少し小さめだがスタイルが良くてモデルみたいだった。服装は白のワンピースを着ていて清楚な感じだった。
俺は中本さんを見た瞬間心臓の鼓動が早くなっていくのを感じた。
「彷徨、紹介するよ。俺の友達の中本沙織さんだ。」
電郎は中本さんの肩に手を置きながら紹介した。
(ああ……やっぱり二人は友達なんだ。)そう思うと胸が苦しくなったが、俺は平然を装い彼女に話しかけた。
「こんにちは!中本さん!」
すると彼女は笑顔で答えた。
「あ、こんにちは!えっと……彷徨君……であってるのかな?」
「あ…はい。合っています。」
すると、彼女は俺の隣に座った。
(ああ……なんか緊張する……)
俺は心臓の鼓動が早くなるのを感じた。そして、中本さんは俺に尋ねた。
「ねえ、彷徨君って何か病気持ってる?」
「え?あ~うん……」
(やっぱり聞いてくるよな……)
「あのね、私ね!実は電ちゃんから彷徨君が私のことを気になっていると聞いたから、 それでね!私、彷徨君に興味を持ったの!」
(え……)俺は思わず固まってしまった。
「それでさっき電ちゃんから彷徨君が倒れたというから、心配になって学校を休んできたんだ。」
「…………」
「でも、病院に行く際疑問を感じたの。急に倒れて意識を失うってことは何か持病があるか病気があの時発生して重大になった、それのどちらかだと。」
中本さんは真剣な表情でそう言った。
「だから心配になってきてみれば案の定、 彷徨君は病気だった……私は心配よ。」
彼女のその言葉を聞いた俺は心が暖かくなり、涙が出そうになったので顔を俯けた。
「……」
「でもね!私はそれでもあなたに興味があるの!だからこれからもあなたとお話をしてもいいかな?」
彼女は笑顔で俺に尋ねてきた。
「中本……さん?」