なにはともあれ、明日は満月ではなくなるから大和のあの苦しそうな顔を見なくてもすむはずだった。
「私達、本当に付き合うことになったんだよね?」

ベッドに突っ伏してそう呟くけれど、実感はなかった。
むしろ振られた時のほうがより現実的に記憶に刻み込まれている。

こうしてひとりでベッドに横になっているとだんだん不安になってきて、無意味にスマホを確認してしまう。
大和からの連絡はとくになにも来ていない。
あの様子だから家についてもしばらくは苦しいのだろう。

そんなときにこちらから連絡を取るべきじゃないと思う。
千明はモヤモヤとした気持ちを抱えたまま、ギュッときつく目を閉じて、無理やり眠りについたのだった。