その日アパートに戻ってスマホを確認してみると梨江と晋也から沢山のメッセージが届いていた。
どれも大和を心配する内容のものばかりだ。

千明は大丈夫だから安心してほしいという内容の返事をふたりにして、ベッドに突っ伏した。
今日のことを思い出すとまるで夢を見ているようだった。

大和の正体を知った後でもう1度告白した千明に、大和は『付き合ってほしい』と申し出てきた。
もちろん千明はそれを受け入れたのだけれど、満月の夜の大和は自分を制御するだけで精一杯だった。

どうにか千明に支えられながら車へ向かい、休憩を挟みながらようやく帰ってきたところだった。
千明のアパートから大和の家までまた運転するのかと思うとさすがに心配で『上がっていきませんか?』と声をかけたのだけれど、大和は首を縦には振らなかった。

遠慮したのだろう。
満月の夜、交際1日目で相手に部屋に行くなんて、本当に自分が自分でなくなってしまうからと、苦笑いをしていた。