狼上司と秘密の関係

でももう騙されない。
誰がそんなこと信じるものか。
千明は強い気持ちで大和を睨んだ。

「私、子供じゃないんです。そんなことで騙されたりしません」
キッパリと言い切ったとき、大和がチラリと千明へ視線を向けた。
「キスした日。満月だったな」

「それがなにか?」
「俺は体調が悪くて君が助けてくれて……」

そう、それでキスされた。
あれさえなければ今みたいなことにはなかっていなかったのに。
思い出すとまだ胸のあたりが切なくうづく。

それが悔しくてそっぽを向いた。
「あの時、俺の目の色が変わっていたことを覚えてるか?」
そう言われて大和の目が銀色に光っていたことを思い出す。