狼上司と秘密の関係

「なんでも聞きます」
そうしないとなにがなんだかわからないままだ。
そんなの嫌だった。

モヤモヤした気持ちで仕事に戻れば、きっとまたミスを連発することになる。
「俺は……俺の血には狼の血が混ざってるんだ」
え……?

絶句してなにも言い返せなかった。
真剣な表情で運転する大和の横顔を見ていることしかできない。
「なにそれ、冗談ですか?」

次第に怒りが湧き上がってくる。
自分は狼男だから付き合うことはできない。
だけど君のことが好きだ。

とでも言うつもりだろうか。
あわよくば千明の体だけを目的としているようにも感じ取れる発言だ。

「冗談じゃないんだ。本当のことなんだよ」
運転しながらまた泣いてしまいそうな顔をしている。