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アパートに戻ってきてからも千明は呆然と椅子に座り込んでしまった。
勇気を出して告白したものの、その返事はなんとも言えないものだった。
いや、『やめておいた方がいい』ということは、遠回しに振られたことになるのかもしれない。

千明は下唇を噛み締めた。
「それならそうと、わかりやすく言ってよ」
ごまかされた気持ちになって悔しさが湧き出てくる。

あれじゃまるで千明のために交際を断ったと言わんばかりだ。
「そんなのずるいよ……!」
ジワリと熱いものが目の奥に広がっていく。

それを止めることができなくて、すぐに涙として頬を流れてきた。
千明はテーブルに突っ伏して声を殺して泣き始めたのだった。