中身はすでに飲んでしまっているが、休憩室へ戻るつもりはないらしい。
「思い切って告白するっていうのは?」
晋也からの提案に千明は箸を落としてしまいそうになった。

慌てて握り直して晋也へ視線を向ける。
「だって、このままじゃ良くないだろ。それならもう思い切って告白してスッキリするのが一番だと思うけど」
「それって潔く振られろって言ってる?」

千明の問いかけに晋也は黙り込んだ。
だけどその沈黙は肯定しているようなものだった。
元々可能性ゼロの相手を好きなってしまったんだから、告白した時の返事だってわかりきったものだった。

それでも告白してスッキリしろというのは、すべてを終わりにしろということだった。
千明は体の中の空気をすべて出し切るようなため息を吐き出した。
「私だってこのままじゃダメだってわかってる。でも振られたら個々で働くのも辛くなっちゃう」

保育士の夢を諦めてここへ来た。
ここでは小さな子どもたちが沢山遊びにきて、その相手をすることができるからだ。
だけど保育士のように大きな責任は持たなくてもいい。

それが千明には大きな魅力になっていた。
この場所はまさしく天職なのだ。
「それは時間が経てば消える傷だと……思うんだけどなぁ」