それからも仕事をしながら大和のことを気にする日が続いていた。
叶わない恋だとわかっていても、そう簡単に諦めることはできない。
どうすれば忘れることができるのか、それすらわからないままだった。
「大丈夫か?」

昼休憩の時間になって梨江とふたりで外へ出てきていた千明に晋也がそう声をかけた。
今日は晋也も外へ出て食べるつもりのようで、手にはコンビニのお弁当が入った袋が握られている。

「大丈夫だよ。私元気でしょう?」
そう言って首を傾げてくる千明は明らかに弱っている。

食事量も減っているし、眠る時間も減っているのだから当然のことだった。
「元気そうには見えないけどな」
晋也は腕組みをして答えた。

大きなミスはしていないものの、このままではいつどんなミスをしでかすかわからない。
千明本人だって、その不安を持ったまま仕事をしていた。
「人を好きになったくらいで休むことなんてできないし」

当人がいない場所だからこそ言えることだった。
「同じ職場ってきついよね」

梨江が訳知り顔で何度も頷いている。
その手に持っているのは栄養ドリンクの茶色い瓶だ。