大和のことはきっぱり諦めよう。
ちょっといい上司。
可愛い人と思っていたけれど、それもやめよう。

これからはちゃんと線引して接するのだ。
そうしないと、仕事にならない。

翌日の出勤日、千明は鏡の前で自分自身にそう言い聞かせた。
いつものように動きやすい格好をしてアパートを出る。
今日も天気が良くて、アイスクリーム作りには最適な日だ。

これが雨だと体験施設の中で床で玉を転がして作ることになるから、楽しさは半減してしまう。
「えっと、今日の予約は何名様だっけ」
車を運転しながらブツブツと呟く。

職場に到着すれば予約人数くらい書いてあるけれど、ぼーっとしているとつい大和とのキスを思い出してしまうから、無駄に仕事のことばかりを考えるようにしてしまう。
そうしている間にあっという間に職場に到着した。