「だけどさ、体験教室で子供と関わってるときの千明ってやっぱりすごく楽しそうなんだよね」
「そ、そうかな?」

それは少しは自覚していたことだった。
やっぱり子供は好きだから、子供会とかが団体で予約を入れてくれると前日からやる気が出る。

家族連れでも、小さな子どもがいれば自然とそちらへ視線が向いてしまっていた。
「そうだよ。だからさ、その子供好きを伸ばして欲しいとか、生かしてほしいのかもよ?」

少なくても大和は千明のためを思って言ってくれていたのだろうということはわかった。
それなのに自分は話半分に聞いて、どうしてそんなことを言うんだろうと、すねていたかもしれない。

そんな自分を思い出してなんだか情けなくなる。
「もっと、ちゃんと考えたほうがいいのかなぁ」

「まぁ、それは千明次第だけどね。どんな仕事がやりたいのか、私にはわかんないし」
「例えば私が今の仕事を辞めたら、どう思う?」
梨江は視線をテレビに向けたまま「寂しい」と、呟く。