狼上司と秘密の関係

けれど、大和は休憩時間を半分過ぎたあたりでまたパソコンへ向き直ってしまった。
こうなると、千明は1人でぼんやりとニュース番組を見て過ごすことになる。
時折大和へ視線を映すと、難しい顔をして画面を見ていることが多かった。

自分たち下っ端はお客さん相手に体験教室の先生をしていればいいだけだけれど、大和には様々な仕事がかかってきているのだろう。
それはきっと自分たちが質問してもわからないことなので、そっとしておくのだ。

「保育士に戻る話しはちゃんと考えた?」
不意に質問されて振り向くと、大和はパソコン画面を視線を向けたままだった。

「私は、ここでの仕事を気に入ってるから。それに、大和さんと一緒にいられると、やっぱり嬉しいし」
それが今の正直な気持ちだった。

あれから保育士の仕事について考えなくもなかったけれど、やっぱり転職することは考えられなかった。
「そうか。でも、なにかあればすぐに言ってくれ。相談には乗るから」

「はい……」
どうしてそこまで保育士の仕事にこだわるんだろう。
千明は少しだけモヤモヤとした気持ちになって、横目で大和を見つめていたのだった。