狼上司と秘密の関係

『すみませんでした……』
大事にならなくて安心したものの、それから一週間ほどは子どもたちを外で遊ばせることが怖かった。
また同じようにケガをしたらどうしよう。

すぐに親に連絡を入れようか、それとも今まで通り対処しようか。
そうしてまたクレームがきたりしたら……。
そんな不安は敏感な子どもたちならすぐに感じ取ってしまう。

外で遊んでいてもなんだか元気のない子がいたり、千明にピッタリくっついて離れない子が出てき始めてしまった。
『最近外で遊んでも楽しくないって子供が言うんです。先生、その理由を知ってますか?』

それはクレームがあった3日後のことだった。
子供の迎えにきた母親が困り顔で相談してきたのだ。

『え?』
子供は普段から外で遊ぶのが大好きな子で、とくにヤンチャな男の子だった。

だけど、そう言われてみれば最近は園庭で遊んでいてもあまりはしゃいだ様子を見せないかもしれない。
千明は男の子前にかがみ込んで『どうして外で遊ぶのが楽しくないのかな?』と、訊ねてみた。

男の子はジッと千明の顔を見つめて『僕がケガしたら、先生が悲しむだろ!?』と、大人びた発言をしたのだ。
その言葉に千明はハッと息を飲んだ。