狼上司と秘密の関係

『○○くん、そっちは危ないよ。××ちゃん、こっちで一緒に遊ぼうか』
それは保育園で働いていた時の記憶だった。
千明は子供たちに囲まれて幸せだった。

どの子もとてもかわいくて、ずっと見ていても全然飽きない。
小さな手が千明のエプロンを引っ張って「ちあきせんせぇ」と呼ばれることが嬉しくて仕方なかった。

これが自分にとっての天職じゃなければ、なにが天職だと言えるだろう。
本気でそう思っていた。

だけどそれは無残にも打ち砕かれる。
『痛いっ!』
聞こえてきた悲鳴に我に返り、視線を向ける。

そこにはこけてしまった女の子がいた。
『××ちゃん、大丈夫?』
駆け寄り、すぐに抱き起こす。

膝を怪我してしまっているけれど、本人は唇を引き結んで必死に泣くのを我慢している。
『泣かないのえらいね。絆創膏を貼ってあげる』
千明は女の子をおんぶして教室へと向かう。