狼上司と秘密の関係

☆☆☆

大和の真剣な気持ちは千明に痛いほど突き刺さった。
自分の部屋でクッションの上に座り、大和からもらったネックレスを眺めながら思う。
これから先ふたりの関係が続いていけば、当然同じような悩みが出てくるはずだ。

そのときになったら、きっと綺麗事ばかりも言っていられない。
だから今日はとある本を購入してきていた。
本屋に行ってもあまり取扱がなくて、なん店舗も探し回った。

「よし、今日はこれを読むぞ」
貴重な休暇だからこそ、貴重な読書の時間に費やすつもりだった。
千明は書店の袋から分厚い図鑑を取り出してテーブルのドンッと置いた。

これを読み終えるだけで1日が終わりそうだったけれど、それでもよかった。
なにせこれは自分にとって絶対に必要な勉強のための本だから。
『狼図鑑』

そのタイトルの本の表紙を優しくなでてから、千明は本を開いたのだった。