狼上司と秘密の関係

その言葉に大和が一瞬空を見上げた。
黒い空は今もまだ泣き続けている。
「子供はみんな無垢で加減知らずな狼みたいなもんだよ」

千明は自分で言って小さく笑った。
狼みたいな子供って、ちょっと可愛いかもしれない。
じゃれついてくる子犬を連想させる。

「だからきっと、私達の子供だけが特別なわけじゃない」
千明はそっと手を伸ばして大和の手を握りしめた。
熱いくらいの体温。

心音まで、こちらに伝わってきそうな気配を感じる。
「そうだな。子供はみんな狼だ。この仕事をしててもわかってたはずなんだけどな」

つい失念してしまう。
と、大和は笑う。
そんな大和に千明も吊られて笑った。

「だけど、大和さんがそこまで考えてるのは意外だった」
「どうして? 俺はもう30で若くない」