遊園地を出た後つれてこられたのは近くのホテルのレストランだった。
まさか今日ホテルのレストランに来るとは思っていなかったので少し慌てたけれど、服装はラフなもので大丈夫そうなので安心した。

窓際の席に案内されて座ると、大和が適当に注文を済ませてくれた。
「夕飯をこんなところで食べるなんて聞いてませんでした」
千明が少し恨めしそうな視線を送ると大和が頭をかいた。

「悪い。でもここはカジュアルな服でも大丈夫な場所だから安心して。それにほら、夜景が綺麗だろ?」
言われて窓の外を見ると、確かに今は夜景がキレイな時間帯になっている。

12階から見下ろす街は建物がどれも小さくて、可愛らしい宝石みたいに光っている。
道を走る車はネックレスみたい。
そう思って自然と首元のチェーンを触る。

「実は今日、部屋も取ってある」
食事が進んだところで不意にそう言われて千明は危うくフォークを落としてしまいそうになった。

「え?」
「深い意味はないんだ。ただ……俺は普通じゃないから、見ておいてほしいと思って」

普通じゃない。
きっと狼の血が混ざっていることを言っているんだ。