私はアンカー。皆の期待を1番背負う場所。

「位置について、よーいドン、」

そんな普通の掛け声から始まり、何故この競技は盛り上がるのだろう。

今の所、私のクラスは3位。5クラス中。

そして、私の前の人へバトンが渡された。

私も位置につかなきゃいけなくなる。

そんな時だった。

「凪せんぱーい!」

私の名前が呼ばれたのは。

「え、」

そこにいたのは、学校1イケメンの後輩。
鈴木蒼(すずきそう)

「頑張ってくださーい!」

私が「ありがとう」の意味を込め、微笑むと、彼は笑顔になった。
まるで、子犬のような可愛い笑顔に。

「佐藤さん!」

「うん、」

バトンがスムーズに受け渡される、かと思いきや、リズムが合わず、バトンを落としてしまった。

クラスからは落胆の声が聞こえた。
現在、最下位。

「凪せんぱーい!頑張れー!」

鈴木くん。ありがとう。

今、私が出来る事。それはーー、


自分を応援してくれている人達の願いをーー、

叶える事。

私は始めて体育祭というもので、
            本気を出した。