もしかしたら今更兄たちを探し出しても、迷惑なだけかもしれないとアマリリスはどこかで思っていたが、そんな杞憂は吹き飛んだ。

 なんとしても兄とコンタクトを取り、会いたいという気持ちが込み上げる。

「ヒギンズ伯爵、お話を聞かせていただきありがとうございます」
「いえいえ、なにかありましたら、またお声がけください」

 淑女の礼をして、アマリリスとルシアンは一旦バルコニーへ向かうことにした。

 王城の庭園を眺められるバルコニーへ出ると会場内の騒めきが遠のき、兄の情報を掴んだアマリリスの熱は涼しい夜風に冷まされる。

 ルシアンは侍従から受け取ったグラスを空にすると、静かに口を開いた。

「リリス。さっきのテオという騎士団長ってもしかして……」
「ええ、青い雷の魔法剣の使い手は、おそらくテオ兄様で間違いありませんわ」

 アマリリスは確信に近いものがあった。