ルシアンが為政者としてふさわしいと証明するのは、王妃様の誕生を祝う夜会に決定し、ついにその日を迎えた。

 国中の貴族たちが出席する夜会は、婚約者候補というなんとも微妙なアマリリスをエスコートするルシアン様の立ち回りを見せつけるのに打ってつけだ。

(きっと周りは婚約者でもないのに、こんな正式な場でエスコートをするのかと疑問を抱くわ。それを誤解のないように説明しつつ相手をこちらに引き込めば完璧よ)

 国王陛下がジャッジする間だけルシアン様と相性のいい相手を吟味して誘導し、アマリリスは微笑みながら突っ立っていればいい。すでに準備は整い、控え室でルシアンと会場に入る順番を待っている。

「ふふふ、気合が入るわね……!」

 ガッツポーズを決めたアマリリスに、ルシアンが笑顔で声をかける。

「そうだね、僕もリリスと夜会に参加するのは初めてだし、楽しみだよ」
「ええ、今日は素晴らしい日になるでしょう」

 いつの間にかリリスと愛称呼びされているが、今夜までのことだからとアマリリスはスルーした。