バックマン公爵夫人の厳しい追求に、ロベリアは顔を真っ赤にして震えている。侮辱された怒りと馬鹿にされた羞恥心でロベリアの心は埋め尽くされていた。

「母上! そんな言い方はあんまりではないですか! ロベリアはずっと虐げられてきたのですよ!?」
「ダーレン。お前の目は節穴か」

 今度はバックマン公爵がダーレンを諫めた。

「父上、なぜ私の目が節穴なのですか!?」
「お前は婚約者の屋敷に行って、従妹が接待していたことに疑問を感じなかったのか?」
「は……? アマリリスが拒否していたのだから、仕方ないではありませんか!」
「ではマリリリス本人からそう聞いたのか?」
「……いえ、それは……」

 八年間もの間、婚約者の屋敷に行って一度も会えないなどありえない。その異常事態に気が付かない時点でダーレンの後継者としての資質が疑われる。

 侯爵家は最初からダーレンの婚約者をすげ替えたかったのだ。相手の意図に簡単にはまるようでは、公爵家の跡取りとして自覚がないとしか言えない。

 それにアマリリスが流行遅れのドレスを、ロベリアが最新のドレスをいつも身に着けているのを見れば、どちらが嘘をついているかなど一目瞭然である。