ルシアンの落ち込んだ様子を見て、少々やりすぎたかとアマリリスの良心がチクリと痛む。しかしこう見えてアマリリスより三歳年上の王太子殿下にはこれくらいの荒療治でもしなければ問題点がわからないだろう。

「でも、アマリリス先生が孤独じゃなくてよかった。これからは僕もいるから、気兼ねなく頼ってほしい」

 ほんのりと頬を染めたルシアンは、アマリリスの手を取ってキラキラとした瞳で至極真っ当なことを言い放つ。だが、アマリリスが求めているのはこういう返答ではない。

(あー、これはゴールまで遠いわ)

 翌日からの教育をどうするべきか、アマリリスの悩みは尽きないのだった。