あっさりと裏事情を看破され、にっこりと微笑んだルシアン殿下に心が揺さぶられた。

 いったい、いつの間にそこまで調べたのか、さすが王族だとアマリリスは感心する。しかし王太子の教育係など、それで頷くほど簡単な話ではない。

「これだけの調査力がおありでしたら、私など不要でございましょう?」
「いや、そんなことはないよ。貴族全員を細かく調査しているわけではないし、他国の使者や王侯貴族となれば容易に調査も進まないだろう。そんな時に相手の腹の中を読み取り的確に急所をつき、不要となれば容赦なく切り捨てるアマリリス嬢の判断能力が役に立つと思うんだ」

 褒められてるのか貶されてるのかわからないが、ルシアンがニコニコしているので、アマリリスは好意的に受け止めることにした。

「アマリリス嬢。そういうわけで教育係を頼んだ。これは王命である」

 どちらにしろ、国王の鶴のひと声でアマリリスの命運は決まったのだった。