「今日からお姉様の侍女になりました。ルシアン殿下におかれましてもよろしくお願い申し上げます」

 にっこりと笑う目の前のロベリアに、アマリリスは開いた口が塞がらない。

(ロベリアが私の侍女って……どういうこと!?)

 チラリとルシアンに視線を向けても、いつものように腹の底が見えない笑みを浮かべているだけだった。
 アマリリスはいよいよクレバリー侯爵家の状態が悪くなったのか、ルシアンの婚約者である自分にすり寄ってきたのだと考える。

 しかし、ルシアンはアマリリスが置かれていた状況を把握しているはずだ。いくらロベリアが侍女だといっても、アマリリスに近づけるようなことすると思えない。

(そういえば、一週間ほど前にロベリアとダーレンが婚約を解消したとルシアン様から聞いたけれど……なにか狙いがあるのね?)

 そう察したアマリリスはひとまず流れに身を任せることにした。