天才悪女は嘘を見破る〜王太子の教育係になったはずが溺愛されてます。すべてを奪った義妹一家は自滅しました〜

「一国の王太子が毒を盛られたのです。人事から見直すのは当然のことでしょう? それで、どなたからのご命令ですか?」
「………ブリジット伯爵です」
「あら、あまり関わりがないとおっしゃっていましたが、人事にまで口を出されるほどブリジット伯爵と深い付き合いなのですね」
「たまたま、です」

 エドガーは組んでいた足を元に戻し、膝を包むように手を乗せる。わずかに貧乏ゆすりも始まり、焦りと恐怖でいっぱいのようだ。

(あらあら、なににそんなに怯えているのかしら?)

 笑みを深めたアマリリスは、さらに追い打ちをかける。

「エドガー様。ブリジット伯爵から給仕に関することで、なにか命令されましたか?」
「っ! な、なんのことだかわかりません」

 視線は左右に揺れて瞬きが増え、首元のクラバットを緩めた。その手は膝の上に戻され固く握りしめられている。