突然、アマリリスのもとを訪れたバックマン公爵夫人は思い詰めた表情で切り出した。

『アマリリス、突然押しかけてごめんなさい。でもお願い………どうか、助けてほしいの』
『バックマン公爵夫人、よほどのことなのですね? まずは詳しくお聞かせください』

 詳細を尋ねると、かわいがっている姪が一週間近くタウンハウスの部屋に引きこもり、家族とも話さず同年代のアマリリスなら心を開くかもしれないから話し相手になってほしいと言う。

 ダーレンとの婚約期間も変わらず接してくれたバックマン公爵夫人の頼みならばと、アマリリスは快諾しブロイス伯爵家を訪れナタリーと面会した。

 最初に会った時のナタリーは、アマリリスが一歩近づくとビクッと身体を揺らし、震える手をなんとか抑えようと恐怖に耐えている様子だった。

『初めまして、アマリリス・クレバリーと申します』
『お、お初にお目にかかります………ナタリー・ブロイルでございます』