それは紛れもなく生き別れになっていた長兄、テオドールだった。

「テオ兄様っ……」
「リリス——!!」

 すっかり逞しくなった腕に抱きしめられ、アマリリスも背中に手を回してギュッと力を込める。テオドールを見上げると精悍な顔つきにはなっていたが、優しげな深い緑の瞳は別れた頃のままだった。

 ポロリと雫こぼれ落ち、アマリリスの頬を伝う。

「テオ兄様、会いたかった……ずっとずっと会いたかった!!」
「ああ、すぐに戻ってこられなくてごめん。またリリスを泣かせてしまったな」
「テオ兄様……テオ兄様! ふっ、うぅ……!」

 今までひとりだと思っていたから耐えられた。とっくに枯れたと思っていた涙が後から後からあふれてくる。
 そんなアマリリスを抱きしめるテオドールの瞳にも、キラリと雫が光っていた。