『よかろう。では詳細を詰めるぞ』
『ありがとうございます。父上』

 花が咲くような笑みを浮かべ、ルシアンは作戦会議を進めていく。その様子を見た国王は密かに驚いていた。

(こんなにも誰かに固執するルシアンは初めてだ)

 なんでもそつなくこなすルシアンは穏やかではあるが、なにかに対して情熱を見せることがなかった。非情な決断もあっさりと決断し淡々と実行していく。それは為政者として必要な要素ではあるが、ルシアンの心が見えず心配もあったのだ。

(やっとルシアンの本音を聞いた気がするな……)

 人間らしいルシアンの行動に、国王として、父としてなにをしてでも応えたいと強く思う。

 こうしてアマリリスにとって理不尽な命令が下されることになった。