てっきり国王陛下と話すものだと思っていたアマリリスは、ルシアンの姿もあることに面食らう。嫌な汗が背中を伝うが、ルシアンはいつも通り穏やかに微笑んでいた。

「うむ、今日の話はルシアンも同席させた方が良さそうだと判断した。そちらにかけてくれ」

 国王陛下に促されるままビロードのソファーに腰かけてから、教育を終えるならそれもまた当然の判断だと思い直す。

 王城に連行された時と同じように正面に国王陛下とルシアンが腰を下ろした。出されたお茶でカラカラになった喉を潤し、アマリリスは国王陛下の言葉を待った。

「昨夜の夜会でルシアンの行動を確認した。貴族たちと対等に渡り合い、さまざまな情報を引き出しておった。アマリリスの話題が多かったが、概ね満足のいく結果であった」
「それでは……!」

 早速の国王陛下の嬉しい言葉に、アマリリスの期待は高まる。

「だけどね、僕としてはまだリリスから学びたいことがたくさんあるし、ずっとそばにいてほしい」

 喜びも束の間、ルシアンの言葉でそう簡単には解放されないのだと思い知らされた。