だからドアから離れるのが遅れてしまった。
その場にぼーっと立ったままだった由佳の目の前でドアが開いて、昂輝が驚いた表情を見せた。
『なんだよ、立ち聞きか?』
『ご、ごめん。相手が誰なのか気になって』
由佳は正直に謝ったが、昂輝は別に怒っている様子ではなかった。
むしろ恋人との会話を聞かれて恥ずかしかったのか、頬が赤くなっている。
『もしかして彼女からの電話?』
ちゃかすように訪ねてみると昂輝は『誰だっていいだろ』と、はぐらかして机に向かう。
『ねぇ、彼女の名前を教えてよ。名字だけでいいから』
昂輝の背中を追いかけて移動しながら由佳は更に食い下がる。
泉というのが名前だとすれば、あとは名字がわかれば相手のフルネームがわかることになる。
フルネームを知ってなにをしようとか、そんなことは考えていなかった。
ただ、気になっただけだった。
『名前は岩上、岩上だよ』
昂輝はそう答えたのだった……。
その場にぼーっと立ったままだった由佳の目の前でドアが開いて、昂輝が驚いた表情を見せた。
『なんだよ、立ち聞きか?』
『ご、ごめん。相手が誰なのか気になって』
由佳は正直に謝ったが、昂輝は別に怒っている様子ではなかった。
むしろ恋人との会話を聞かれて恥ずかしかったのか、頬が赤くなっている。
『もしかして彼女からの電話?』
ちゃかすように訪ねてみると昂輝は『誰だっていいだろ』と、はぐらかして机に向かう。
『ねぇ、彼女の名前を教えてよ。名字だけでいいから』
昂輝の背中を追いかけて移動しながら由佳は更に食い下がる。
泉というのが名前だとすれば、あとは名字がわかれば相手のフルネームがわかることになる。
フルネームを知ってなにをしようとか、そんなことは考えていなかった。
ただ、気になっただけだった。
『名前は岩上、岩上だよ』
昂輝はそう答えたのだった……。



