拷問ASMRー恐怖の音当てクイズー

週に１度の家庭教師の時間が楽しみで、勉強もおしゃれも頑張るようになった。
勉強を頑張るのは昂輝に褒めてもらいたいから。


おしゃれを頑張るのは、昂輝から少しでも大人の女性として見られたいからだ。
そんな由佳の気持ちに昂輝が気がついていたかどうかはわからない。


気がついていたとしても、気がついていないふりをしていたかもしれない。
『ちょっと、ごめん』


昂輝は授業の最中に電話が鳴って何度か席を外したことをがある。
その時のほころんだ表情や声色で、なんとなく彼女とか、好きな火人からの連絡なんだろうなということは予測がついた。


その電話に出るときには必ず部屋から出て、由佳に聞こえないように小さな声で話をしてすぐに戻って来る。
きっと『今、バイト中だから掛け直す』とか、そういう内容を伝えているんだと思う。


すべてはなんとなくの憶測だけだったけれど、ある日由佳は電話の相手が誰であるか気になって仕方なくなった。
自分が昂輝への気持ちを押し込めていることの原因のひつとが、その電話だったからだ。
電話がなければ、あるいは自分の気持を昂輝へ伝えていたかもしれない。