昨日たまたま出会った私に、ここまで気遣ってくれる壱夜さんには感謝しかない。

 ただ、これ以上壱夜さんに頼るわけにはいかない。きっと住む世界が違うのだ。

 この街には、幼馴染の二人との思い出も多い。この機会に、この街を離れて新しいことにチャレンジしよう。誰も知らない土地で一から始めるのだ。

 壱夜さんからのメッセージは、お守り代わりに大切に取っておこうと思う。

 シャワーを借りてさっと身支度を整えた私は早々に部屋を出た。フロントで恐る恐るカードキーを返したが、すでにお支払いも終わっていて、ホッと一息ついた。きっと私では払えない額のお部屋だと思う。いつか、いつかどこかで再会することがあったら、恩返ししたい。

 一人暮らしのマンションに帰りついた時には、昨夜からの怒涛の展開にクタクタだったが、せっかくの決心が鈍る前にと動き出した。