オープンに返事を聞くと言われていたプロポーズは、オープン前日の昨夜に突然返事を聞かれた。確かにオープン当日は忙しくてそれどころではないだろうが、慌てなくても逃げるつもりはない。

 けれど、前日に聞いたのには訳があったのだ。私が知るのはもう少しあとのこと――。

 早朝から私と店長も『シノノメオーシャンズクラブ』入りをしている。

 沙夜はといえば、壱夜さんから店長経由で招待された私の両親と、用意されたホテルの部屋で過ごしているのだ。

 今日は、壱夜さんのご両親も来ると聞いている。ご挨拶する機会があるのだろうか。

 ブライダルショーの準備で、裏ではすでに戦争状態だ。

「1番のドレスはどこ?」
「ここにあります」
「ブーケは?」
「これです」

 確認と準備でごった返す。

「ねえ、このウエディングドレスを着るモデルはどこ?」
「ええっ?」

 他のドレスよりも小さめの女性用のドレスを手に何やら不穏な空気が流れている。

「誰か知らない?」
「すみません。昨日体調不良だと連絡があったことを忘れていました!」