寝室まで運ばれて、言葉や表情とは裏腹に優しくベッドに下された。

 壱夜さんがベッドの上に四つん這いになり見下ろしている。私の胸は、ドキドキと早鐘を打ち鳴らす。ここからは未知の世界だ。

 長時間、外にいたことで少し冷たくなった私の唇に壱夜さんの唇が重なった。角度を変えて何度も繰り返される。どのタイミングで息をしたらいいかもわからない私に合わせて、優しいキスが下りてくる。口内に壱夜さんの舌が入って来た時には、驚きと共に無意識に声が漏れていた。

「ンンッ」

 漏れた吐息が合図になり、壱夜さんの手が私の身体を這い回る。時間を掛けて解きほぐされた私の身体は、壱夜さんと一つになる瞬間、今まで経験したことのない幸福感に包まれた。

 大切に、まるで宝物を扱うように私を優しく包んでくれる壱夜さんに抱かれて、今日という日が最高の思い出に塗り替えられた――。