再会溺愛〜夢の一夜の証と共に〜

 沙夜が出掛けてからほどなくして、壱夜さんが迎えに来てくれた。前回とは違う高級車を自分で運転してやって来た。

 勝手に御曹司で社長という立場の人は、運転はしないと思っていただけに少し驚いた。

「驚いた顔をしてどうした?」
「あっ、いえ。運転しているのが意外で。お迎えに来ていただきありがとうございます」
「俺の肩書を気にしているなら止めてくれ。しゃべり方も普通で」
「でも……」
「さあ、時間がもったいない。行こう」

 車の助手席にエスコートされて座るが、驚くほどふわふわだ。

「ランチをしながら話をしよう」

 目的地が決まっているのか、車がスムーズに走り出した。車内での会話は、壱夜さんに聞かれたことをポツリポツリと私が答える感じだ。主に、沙夜の話題が多い。どんな食べ物が好きか、どんな遊びが好きか、壱夜さんからは今までの時間を取り戻すかのように質問される。すでに、父親の顔をしている壱夜さんを見ると私が何かを言える立場ではない。