「花木沙夜です」
「沙夜ちゃん……」

 自己紹介してくれたわが子に、今にも涙が溢れそうだ。そう、わが子だと確信している。

「お名前は?」
「東雲壱夜です」
「いちや?」
「そうだよ」
「みんな『や』がつくね。おもしろい〜」

 賢いわが子の言葉に、更に感動する。おじちゃん抱っこと言われた瞬間、俺は幸せ過ぎてどうにかなりそうだった。

「おじちゃん、パパみたい」

 小さい子供でも、自分と似ている俺に何かを感じてくれたのかもしれない。

 パパになりたい、いやパパだと伝えたい。

 とにかく今は美夜と話をすることが先決だ。

 それでも先にどうしても伝えたい言葉。

「沙夜のこと、ありがとう」

 俺との子を、産んでくれて、育ててくれて『ありがとう』――。