再会溺愛〜夢の一夜の証と共に〜

 俺に結婚の意志がないのではなく、相手に逃げられたと思って同情されている感もあるが、いつか必ず会わせることを約束してなんとかこの話題は一旦終了した。これで、反対されることも邪魔をされる心配もないだろう。

 ただ、肝心の美夜が見つからない……。

 俺の手の尽くせる範囲で探しはしているのだ。なぜ見つからないんだ?

 まさか、この地を離れているとは考えもしていなかった。

 仕事を投げ出すわけにはいかない自分との葛藤の中で、思い出すのは美夜のこと……。

 親父も歳を取ってきて会長職になると言い出したので、社長を継ぐべく忙しい日々。

 東雲財閥という大きな組織を継ぐプレッシャーに押しつぶされそうになりながらも、たくさんの従業員を背負う覚悟で走り続けた。

 美夜と出会う前から話があった北陸のリゾートホテル事業。俺が総責任者になる初めての大仕事。副社長としての立場とは違い、最終的な判断は全て俺に回ってくるのだ。

 国内にリゾートホテルはたくさんある中で、今回東雲は何を推すべきか……。