これからどうしたらいいのかわからない。一旦冷静になって、考えたいと思っていた時だった。

「社長そろそろお時間です」

 車の中から壱夜さんを呼ぶ声が聞こえた。今まで待っていてくれたのだろう。

「もうそんな時間か」
「えー、おじちゃん帰っちゃうの?」
「ごめんね。今日は用事あるから、また来るね」
「約束だよ」
「ああ。美夜、今後のことを話したいから、近々時間を作ってくれないか?できれば二人で話したい」

 もう、拒否をしても遅いのだろう。沙夜は壱夜さんの子でもあるのだから、話し合うべきだと判断した。

「わかりました。保育園の間は仕事がありますので、休日店長に沙夜を預かってもらえるか聞いてみます」
「俺の番号はあの時から変わっていないから、まずは連絡先を送ってくれないか」
「わかりました。帰ったら送ります」
「ああ、頼む。美夜」
「はい」

 名前を呼ばれて壱夜さんを見ると、真剣な表情で私を見ている。
 
「沙夜のこと、ありがとう」

 怒られるかもしれないと考えはしたが、お礼を言われるとは微塵も思っていなかった。