無邪気に笑っているわが子を横目に、この状況から打破する方法を考えている。

「じゃあ、私達はそろそろ」
「えー、もっと遊びたいー。おじちゃん抱っこ」
「沙夜、無理言わないの」
「いいよ。抱っこしよう。おいで」

 壱夜さんの広げた手の中にすっぽりと収まった沙夜は、抱き上げられてキャッキャとはしゃいでいる。本物の親子で、知らない人が見ても間違いなく親子だとわかるくらい似ている。私だけが複雑な気持ちなのだろうか。

 壱夜さんからしたら、突然知ることになったわが子の存在のはずが、戸惑いすら感じない。すでに、沙夜を受け入れているようにさえ見える。

「おじちゃん、パパみたい」
「「えっ……」」

 無邪気な子供の発言に大人二人が驚きの声を上げてしまった。

「沙夜ちゃんは、俺がパパになってもいいの?」
「壱夜さん!」
「うん、いいよー。だって沙夜と似てるもん」
「……」
「そうか。嬉しいよ」

 子供の無邪気な発言に私は何も返せない。保育園には、パパがお迎えに来る子も多く、今まで我慢していたのかもしれないと今頃気づいた。