再会溺愛〜夢の一夜の証と共に〜

「美夜ちゃん」

　店長から呼ばれるも反応できない私に、何かを悟ったのか続きは引き継いでくれた。その間も、店長の横に立つ私に壱夜さんからの視線が刺さる。

　数年ぶりに見た壱夜さんは、以前と変わらずイケメンだ。そして、やはり沙夜と似ている。誰が見ても間違いなく認めるほどの親子の遺伝子を感じる。

　まさか、沙夜の父親が東雲財閥の御曹司だなんて……。

　あまりの事態の重さに、すでに押しつぶされそうだ。まさか、自分の子がこの世に存在するなど、思いもしていないだろう。バレたらどうなるのか恐怖が襲う。絶対にバレるわけにはいかない。

　私が呆然としている間にすべてのプレゼンが終了し、結果は後日ということで解散になった。

「美夜」

　店長と会場を出ようとしているところで、壱夜さんから声が掛かった。

「美夜ちゃん、お話をした方が良さそうね。私は車で待っているわ」
「は、はい」

　一瞬目を見開いて壱夜さんを見た店長は、沙夜の父親だと気づいているのだと思う。